不動産・収益物件を使った株価圧縮とは

事業承継において大きな課題となるのが、自社株にかかる相続税・贈与税です。
その対策として、実務でよく使われるのが不動産・収益物件を活用した株価圧縮です。


なぜ不動産を持つと株価が下がるのか

非上場株式の評価(純資産価額方式)は、次の計算式で算出されます。

株価 =(資産 − 負債)÷ 発行株式数

ここで重要なのが、不動産の評価方法です。

  • 帳簿価額(取得価格 − 減価償却)
  • 相続税評価額(路線価・固定資産税評価額)

これらは一般的に時価よりも低く評価されます。
つまり、

現金 → 不動産

に置き換えることで、

  • 資産評価額が下がる
  • 純資産が下がる
  • 結果として株価が下がる

という流れが生まれます。


王道スキーム:法人で収益不動産を購入

ステップ① 借入を使って不動産を購入

株価圧縮で重要なのは借入を活用することです。

  • 不動産:圧縮評価
  • 借入金:100%マイナス評価

この評価差が、純資産を大きく引き下げます。

ステップ② 減価償却で毎年株価が下がる

不動産帳簿価額 = 取得価格 − 減価償却累計

減価償却により帳簿価額が毎年下がるため、
株価も年々下がり続けるのが大きなメリットです。


計算例:不動産購入による株価圧縮

対策前

現金:1億円
負債:0円
純資産:1億円
発行株式:1,000株

株価:10万円

対策後(不動産購入)

  • 不動産購入価格:1億円
  • 借入金:8,000万円
  • 自己資金:2,000万円

相続税評価額を以下と仮定します。

不動産評価額:6,000万円
借入金:8,000万円
純資産 = 6,000万円 − 8,000万円 = ▲2,000万円

この場合、株価はほぼゼロ評価となります。


収益物件が「最強」と言われる理由

  • 家賃収入が返済原資になる
  • 減価償却で法人税も圧縮できる
  • 株価・法人税・相続税を同時に下げられる

三重の節税効果が得られる点が最大の特徴です。


株価圧縮に向いている不動産の種類

不動産の種類 圧縮効果
中古木造アパート ★★★★★
RC中古物件 ★★★★☆
新築物件 ★★☆☆☆
社宅・事業用不動産 ★★★☆☆

ポイントは「中古 × 耐用年数が短い」物件です。


事業承継と組み合わせる活用パターン

パターン① 生前贈与と組み合わせる

不動産購入 → 株価圧縮 → 生前贈与

パターン② 事業承継税制と組み合わせる

不動産購入 → 株価ほぼゼロ → 事業承継税制適用

後継者の税負担をほぼゼロに抑えることも可能です。


注意点(失敗しやすいポイント)

  • 過度な借入による資金繰り悪化
  • 収益性の低い物件選定
  • 承継直前の露骨な対策に